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The Greatest Showman

 6月にアメリカから来日するシンガーと一緒にその時限りに募集したクワイアと京都のアグネスチャペルで歌うという企画があります。私は主宰のJAGの協力メンバーとしてクワイア指導とピアノを担当します。クワイアが歌う3曲の中に”This is Me"がありましたので、これは是非映画を見ておかなければということで、先日見に行ってきました。

ヒュー・ジャックマン演じるP.T.バーナムは、実在の人物で19世紀のアメリカ合衆国のショー・ビジネス界で活躍しました。サーカスを設立した人ということです。

 映画の冒頭から身分の違いということを考えさせられました。バーナムはテーラーの息子(事実は宿屋兼商店経営)で、父親の死後は街で食べ物を盗んで食べたりしている。幼馴染で彼の後の妻となり彼を支えていくミシェル・ウィリアムズ演じるチャリティはバーナムの父が仕えている裕福な家の娘。そして二人は惹かれあっています。彼らは大人になっても気持ちは変わらず、結婚に進み、妻は夫をとてもよく支えました。このあたりは事実と映画の関係はどうなのだろうと、気になるところです。

 バーナムは勤めていた会社が倒産し、事業を始めようとするのですが、これが倒産した会社の船を抵当に入れて銀行から借り入れをするという、どこから見てもきっちりしていない人なのかという印象を受けました。

勘当同然で結婚したのに、そのような危ない橋を渡るなんて女性からしたら失意だと思うのですが、チャリティは明るく生きて、バーナムを支えています。なんという美しい心! それともバーナムという人が魅力的なのか!謎でした。子どもがいるというのに、借りたお金で歴史資料館のような建物を買います。このあたりで私のイライラ度はかなり上がっていました。もちろんうまくいくはずもありません。彼の子どもが言った一言、「パパ、死んだものを展示しているからうまくいかない。生きたものを展示しなくちゃ」でひらめいたのです。ふとしたことからひらめいてビジネスで成功したりすることは確かにあります。しかし、反面ものすごく安易に乗って行動する人だなあという批判的な感情が湧きました。そして大人だけど子どものような外見の人のところにショーに出ないかと交渉に行くのでした。次々と、一般的ではない人々を連れてきます。歌がとてもうまいけど、ヒゲの濃い大柄の女性とかです。彼らは引きこもったり自信を失っていましたが、バーナムの誘いに乗ってショーに出て人々の注目を浴びることで自分自信のアイデンティティを取り戻していき、彼ら独自の団結力が生まれてきます。この部分はとてもデリケートなことで書きにくいですが、もちろん、彼らに希望を与えたという良い部分はありますが、彼らの異質な部分を汚い言葉で言うならば見世物にしてお金儲けをしているとも言えます。良き部分と悪しき部分が微妙に絡み合っています。ですから人々の批判は浴びます。しかし現実大流行りし、大儲けしたのでした。このあたりは細かいことはともかく、概要は事実のようです。

 この映画は、全編を通して音楽が素晴らしく、ストーリーとともに聴きごたえ抜群でした。メインの曲"This is Me"も素晴らしいですが、バーナムがビジネスパートナーとなるフィリップ(ザック・エフロン)とやりとりするバーでの掛け合いの歌”The Other Side"は私的に最高でした。バーテンダーの関わってき方もナイスでした。エリートで上流階級のフィリップと成り上がってきたバーナムとの違いも微妙に対比され描かれており、私にはシニカルに面白かったです。そのフィリップが空中ブランコを担当する黒人アン(ゼンデイヤ)に一目惚れして恋に落ちます。アンの身分が違うという心の葛藤もよく表現されており、人種差別の問題を考えさせられました。彼らのデート中にフィリップの両親と出会い罵倒されるシーンが印象に残りました。映画では最終的にはハッピイエンドなので良かったです。バーナム夫妻も危機はありましたがハッピーエンドになっています。この辺りは映画用になっているかもしれませんが、ミュージカル映画としてはこの作りがベストであることは分かりながらも、実際はどうだったのかがきになるところです。バーナムが英国に渡りヴィクトリア女王に謁見したのは事実だそうで、スゥエーデンのオペラ歌手ジェリー・ロンド(映画でも実名)に出会い、アメリカ公演を成功させたところも事実です。映画ではジェリーと恋仲だったと想像できる描き方でしたが、この辺りも史実はどうなのかき気になるところです。

 実話の映画化、ドラマ化は私はいつも事実はどこまでが気になりすぎてしまうのですが、ミュージカル映画としては、音楽とダンスは圧巻でした。

 This is Meを6月にJAG主宰合同クワイアと歌うのがとても楽しみです。

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